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在宅医療の基礎知識

点滴の種類

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点滴は在宅医療で医師や訪問看護師が行う事ができる医療処置のひとつです。
何らかの原因で水分や食事を口から摂ることが難しくなってきた患者様、癌の終末期で緩和ケアを行っている患者様、腸閉塞や短腸症候群などで腸管からの栄養を吸収できない患者様、脱水や感染症などで一時的に点滴が必要な患者様などに行われます。
在宅で行う場合は主に皮下点滴と静脈点滴があります。

皮下点滴とは持続皮下輸液、持続皮下注射とも言われています。
在宅の現場では血管の確保が難しい場合や終末期の緩和ケアを目的として行われています。
場所は皮下組織の厚い部位に穿刺にすることが多いですが、具体的には胸部や腹部、大腿部、上腕外側などが挙げられます。認知症で点滴を抜いてしまう恐れのある方は背中に行う事もあります。関節や骨の突起部、腫瘍部位、感染が疑われる部位は避けて行います。

皮下点滴の利点としては、トラブルが少なく管理が容易で静脈点滴に比べ安全に行う事ができます。欠点としては、点滴の投与速度が制限されるため急いで投与する場合や大量に投与する場合には不向きです。また使用できる薬剤に制限があります。(可能薬剤:補液、オピオイド、一部の抗菌薬、ビタミン剤、インスリンなど)
適応外は浮腫が強い場合、うっ血性心不全、出血傾向などがある場合です。
また投与中に強い発赤や痛みが出現した際は、看護師または主治医にご相談ください。

静脈点滴には末梢静脈と中心静脈に分けられます。
末梢静脈点滴とは主に腕の表在に走行している静脈にカテーテルと呼ばれるプラスチック製の針を留置して行う点滴です。 入院や外来などでも行われている処置の一つです。主に水分、電解質の補給や薬剤の投与を目的として行います。輸血なども末梢静脈から行われます。
表在の静脈が見えづらい方や何度も点滴をしている方は静脈が見つからず、挿入が難しい事がありその場合は皮下点滴に切り替えることがあります。

中心静脈点滴は主に高カロリーの栄養や抗がん剤などの薬剤を点滴する場合に行われます。
一般的に内頚静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈と呼ばれる太い静脈のいずれかにカテーテルを挿入して行われます。カテーテルの長さは数十㎝ほどになり、先端は上・下大静脈という心臓に直接流入する血管内に留置されています。
太い静脈のため、高濃度の点滴や薬剤でも血管炎を起こすことなく、安定して点滴を行う事ができます。長期間の留置でカテーテル感染やカテーテル閉塞などを起こすことがあります。
当院ではポータブル超音波により血管の走行を確認しカテーテルを留置します。また、留置後もX線にてカテーテルの先端を確認します。適応となる方は限られますが、在宅の現場でも手技に伴う合併症のリスクを最大限減らして行う様に努めています。

がん疼痛

がん患者様にみられる痛みはがんによる直接的な痛み(腫瘍の浸潤や増大、転移 等)もあれば、がんを治療したことで起きる痛み(術後の痛みや、化学療法の副作用による神経障害の疼痛 等)、がんに関連するとされる痛み(長期の寝たきりによって起きる腰痛、褥瘡、リンパ浮腫 等)、がんとは直接関連しない疾患の痛み(変形性脊椎症、片頭痛 帯状疱疹 等)といったものが挙げられます。
がん自体が原因となって生じる痛みをがん疼痛とよびます。
痛みのパターンには一日のち大半で持続する「持続痛」と一過性に痛みが増強する「突出痛」に分類されます。

具体的に「一日の大半で痛みが続きますか」「大半の時間はおさまっているが、時々ぐっと強い痛みが出ますか」などをお聞きしています。
また、痛みのパターンの他に、痛みの強さや性状、悪化する因子、日常生活への影響などを評価します。
がん疼痛を取り除く治療としては、薬物療法(鎮痛剤 など)、神経ブロック注射、放射線治療がありますが、在宅医療の現場ではがん疼痛のケア方法としては、鎮痛剤用いる治療が最も多いです。強い痛みを患者様が訴えている場合はオピオイドの適応になります。鎮痛剤には様々な種類がありますが、適切な鎮痛剤、あるいはその量については医師が適宜判断し、適切な処方をするようにしています。

褥瘡

褥瘡とは床ずれとも呼ばれるもので、体を自由に動かせない方や寝たきり状態の方に発症することが多く、ご自身で寝返りが打てないことが原因と言われています。このような場合、床の中で同じ姿勢のまま動かなくなるので、体の一部分にだけ圧が加わるようになります。これが長時間続くと血流は悪化し、やがて皮膚やその下にある組織などが壊死していくのですが、この損傷具合のことを褥瘡と言います。

発症して間もなくは皮膚に赤みがみられる程度でしかありませんが、そのままの状態が続くと水ぶくれができ、それが破れると皮膚潰瘍を起こすことがあります。さらに酷い症状になると皮膚がえぐれ、骨まで見える状態になることもあります。ちなみに発症しやすい部位は、お尻、太もも、かかと、ひじなどです。上記の症状に加えて、感染症を併発すると発熱なども現れ、最悪の場合は生命にも影響しかねません。

褥瘡も在宅医療で医師が行う医療処置です。対策としては、体の一部分にのみ圧力がかからないように体の向きを定期的に変える、クッションを使うといった予防をしていくのが大切です。また皮膚に対しては抗菌薬入りの外用薬、軟膏やクリームといった保護剤や創傷被覆材(ドレッシング材)を用いて治療を行います。

熱中症

熱中症は、毎年7月から8月に多く発生します。特に梅雨明けの蒸し暑くなる7月には、体が暑さに慣れていないため、例年救急搬送者数や死亡者数が急増しています。
熱中症は、周りの温度に体が対応できず、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体温の調節機能がうまく働かないなどが原因で起こります。
特に、高齢者の方、体調が悪い方などは体に熱がこもりやすくなっています。
高齢者の中でも特に80歳代の方は男女ともに熱中症になりやすいと言われており注意が必要です。
高齢者の熱中症の発生は在宅に多いため、在宅での熱中症対策が重要と考えます。

「熱中症」にはさまざまな症状があり、めまいやふらつき、こむら返りなどの初期症状があります。症状が出現したら、すぐ休むべきですが、もともと体調が悪い時などは、気づかないこともあります。一度熱中症になってしまうと重症になる事もあるため高齢者の熱中症対策には予防がとても重要になってきます。
熱中症を予防するためには、「暑さを避ける」「こまめな水分補給」「日頃からの体調管理」が大切です。

「暑さを避ける」には、室内において、エアコンのない部屋や風通しの悪い場所にいると、何もしていなくても、寝ているときなどでも、熱中症を起こす危険性があります。エアコンをつけ、扇風機、換気扇などを使い、風通しを良くすることが大切です。また、涼しい服装を心がけて過ごすことが大切です。可能であればこまめに室温を測ると良いでしょう。

「こまめな水分補給」は高齢者の熱中症を未然に防ぐことができます。
水分補給をする際は塩分も一緒にとることが大切です。
塩分やブドウ糖を加えたスポーツドリンクや経口補水液などが販売されています。
しかし、高齢者の方は、色々な理由で自発的に飲水がすすまない方がいます。その際はフルーツやゼリー、水ようかんなど、おいしく食べられる形で水分を取ってもらうことも一考です。その際は糖尿病や心臓に持病をお持ちの方は、糖分、塩分の取りすぎなどに注意が必要なため、持病のある方は一度主治医に相談しましょう。

「日頃からの体調管理」は暑くなる時期に備え、日ごろから、体温や血圧測定などを行いましょう。ご自身の体調を把握する事が大切です。体調が悪いと感じたときは無理をせず、自宅で静養するようにしてください。

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診療科目
内科・消化器内科・外科・緩和ケア内科
院長
野中 勇志
住所
〒213-0033
川崎市高津区下作延2-3-38
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